日本民藝館へ行く

2012/05/17 Thu 00:00

ポロックを見に東京へ出掛けたときに、もう1カ所訪れたのが駒場の日本民藝館。
昔からある本館の方は何度か来たことがあるけど、
旧柳宗悦邸を修復した西館が6年前に一般公開されるようになってからは初めて。
一度来てみたかったのですが、今回やっと訪問できました。
というわけでまずは旧柳宗悦邸である西館へ。

日本民藝館
ファサードは栃木県から移築された長屋門、ほんとに美しくて立派。
瓦ではなく石葺きの屋根の造形が、和風をほんの少し逸脱した感じで面白いです。

日本民藝館
長屋門の屋根を横から見たところ。左奥が母屋です。

室内は撮影禁止でしたが、
さすが稀代の目利きの自宅だけあって、実に心地よく暮らせそうな空間でした。
日本の近代住宅は和洋折衷が基本かと思いますが、この家では
西洋の椅子やテーブルが、まるで最初からここにあるのが当然といった風情で、
和風の建築の意匠と見事に、平然と調和しています。
障子や欄間の桟や襖の引手、階段の手すりなどの意匠も、
至極ノーマルで声高な主張は何もしていないのにどこか引かれるし、
建物の内外至るところに、宗悦が繰り返し唱えた "無事の美" が
さりげなく活かされているのを実感しました。

屋内を見て回っていると、かつてこの家に民藝運動の同志が集まっては、
蒐集した品物を囲んで興奮しながら語り合ってたんだろうなあ、と感慨が湧いてきます。
庭を眺めてみると、ちょっと盛りは過ぎたけど桜がこれまたきれいに咲いていて、
ここにテーブルを出してお茶でも飲んだらさぞかし気持ちよさそう。

日本民藝館

柳宗悦の本は結構好きで何冊か読んでますが、
民藝理論云々を言う前に、文が格調高くて名調子というか、
私にとっては本を読むよろこびを感じさせてくれる人です。
そんな名著を数多く執筆した2階の書斎、机は黒田辰秋です。
扉の彫刻、いいっすね~。こんな机、欲しい。置くとこはないけど。
どっしりとした風格漂う椅子は、肘掛けに獅子頭か狛犬?の彫刻つき。
ユーモラスな顔つきで、ここに座っていると邪気を払ってくれそう。
宗悦さんもさぞやこの椅子を愛したのではないでしょうか。
それから西側の一室、作り付けの寝台みたいに一段高い部分のあるちょっと変わった部屋は、
昨年末亡くなった柳宗理さんの部屋だったそうです。

できることなら自分もこんな家に住んでみたいもんだなあ、
などと思いながら、西館を後にして道路をはさんだ本館へ移動。
この本館の建物も、何度来てもほんとに心地よく落ち着いた気分になります。
本館では「東北の工芸と棟方志功展」(6月10日まで)をやっていて、
以前からすごいデザインだな、と強烈な印象を持っていた山形や秋田の蓑や背中当も
じっくり見ることができたし、こちらも来た甲斐がありました。

それにしても、常設も含めて民藝館の展示を見る度に思うのですが、
宗悦さんてほんとにすごい眼力を持った人だったんだなあ、と今回もつくづく実感。
夕方、閉館時間いっぱいまで見て何となくほっこりした気分を抱えつつ、
こことは対極のような雑踏渦巻く渋谷へと帰途につきました。

日本民藝館
西館横の小庭。真ん中の彫刻は民藝館50周年を記念して
柳宗理さんがデザインした「不二之碑」

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