"Wrecking Ball" Bruce Springsteen

2012/04/09 Mon 23:23

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スプリングスティーンのニューアルバムは
自ら「これまでで最も怒りに満ちたアルバム」と語っている通り、
リーマンショック以降の更なる労働者階級の苦難や町の衰退、
支配層の不正や欺瞞に対する激しい怒りの歌が並んでいます。
もちろんこのあたりは昔からブルースの一貫したテーマではあるのですが、
歌詞はこれまで以上に辛辣でストレートな表現が多いですね。
昨年来のオキュパイ運動にも呼応したメッセージのようです。
もちろんブルースはアメリカのことを歌っているのですが、
日本でも原子力ムラとか、消えた年金問題のことなんかを思い出すと、
そのままそっくりこの国にもあてはまりそうな話ではありますね..。

音的には前2作は割とソリッドかつポップなロックアルバムでしたが、
今作はアメリカのフォークソングを大編成のバンドで豪快にカバーした
2006年の”The Seeger Sessions”に若干近い感触です。
あのアルバムで得た音楽的な成果が、いわゆる”スプリングスティーン的ロック”と
いい具合にミックスされて、見事に結実したような仕上がり。
激しい怒りや深い悲嘆に満ちたシリアスな歌詞とは裏腹に、
手拍子や足拍子と共にみんなで声を合わせて歌いたくなるような、
いわゆる"シングアウト系"というんでしょうか、荒々しく勢いのある曲が印象的です。
全編を通して聴いているといろんな音が聞こえてきて、
まるでR&B、フォーク、カントリー、ゴスペル、アイリッシュ..etc.といった
支流を全部飲み込んで、激しい濁流となって流れる大河のよう。

今ブルースは全米ツアー中で、YouTubeでライブの様子も一部UPされてますが、
見てるとやっぱり猛烈に自分もこの場に居たくなりますね。
還暦過ぎても相変わらずこんなライブを毎夜展開してるのはほんとスゴいです。
"Tenth Avenue Freeze-Out"では、昨年亡くなったBig Manクラレンスの不在を
強く感じさせる演出もあったりして、何だかしんみりしてしまうシーンも。
いい加減日本でもライブをやってほしいけど、今回もスルーなのかなあ。

日本盤は日本のスプリングスティーン解説といえばこの人、
五十嵐正さんの充実した解説がいつもながらほんとに読ませるし、
長年歌詞の対訳をされてきた三浦久さんの解説もついているので、
英語力に自信のない私にはなかなかありがたいです。
レコード会社のスタッフ、HIGH-HOPES管理人さんのブログも、
毎回内容が充実しすぎて読み切れないくらい。
というわけで日本側のスタッフも皆さんいい仕事してくれてることだし、
くどいようだけど来日公演やってくれないもんですかね..。

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