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ソラリスの海に浸る

2018/02/28 Wed 21:11

スタニスワフ・レムの小説「ソラリス」を読み、その後タルコフスキーの「惑星ソラリス」、続いてソダーバーグの「ソラリス」を観る。(若干ネタばれあり)

ソラリス

三者三様どれも面白かったですが、やはり原作の小説(ハヤカワ文庫の沼野充義さんの訳で読みました)が一番良かったかな。人間と全く異なる知性と接触したときに何が起こるか?意思の疎通が可能なのか?こんな問いは他の知的生命体と遭遇しない限りは検証不可能だし、実際に遭遇する可能性も今のところかなり低いですね。だからレムは知識と想像力を駆使して、この小説の中で一つの答えの可能性を提示しているわけですが、アイディアもストーリーも最高に面白いです。以前の翻訳ではカットされていたという「ソラリス学」についての説明が延々と続く部分、ここはちょっとマニアックで読みにくいけど、結構この作品の土台を支える部分なんじゃないか?と。

タルコフスキーの映画は、だいぶ若いときに「ストーカー」と「サクリファイス」を観た記憶があるけど、案の定どっちも途中で睡魔に襲われ、内容はあまり覚えてない..(笑)。でも今回の「惑星ソラリス」は、原作を読んだ直後だったこともあって最後まで集中して楽しめました。原作者のレムの言いたかったこととはだいぶ方向性が違うということで、二人は喧嘩別れしてしまったそうですが、いつもながらの瞑想的な雰囲気と映像の美しさはやはり素晴らしく、更にはロシア人でもないのになぜかこの風景へ感じる深い郷愁…。最後にクリスは故郷の我が家、家族のもとへと帰って行きますが、実はこれもソラリスの海が作った幻。映画を見終わったあと、人は二度と取り戻せないもの、取り戻せない時間を積み上げた挙句、最後はどこへ向かって生きていくのだろうなあ…との想いが湧いてきました。
それと、小説を読んで私がイメージしていたハリーとはちょっと違ってたけど、ハリー役のナタリア・ボンダルチュクさんが美しいです。

ソダーバーグの「ソラリス」は、良くも悪くもハリウッド的といえばそうなのかもしれないけど、こちらも原作とは異なる展開や味付けがかなり面白かったです。ちなみにレムはこの映画を観てもいないのに、伝聞だけでケナしてたそうですが...(笑)
終盤が原作とはまるで違っていて、この映画独自のテーマが最後にはっきりと浮かび上がってきます。自分が見ている現実とは一体何なのか?終いには自分自身すらその実体が一体何なのか、本当に存在しているのかどうかわからなくなってくるドラマチックな展開は、人間について結構深い問いを投げかけているように思います。

映画の方は2作とも、硬質で理知的なレムの原作に比べると、タルコフスキーは家族や郷愁、ソダーバーグは愛情や人のつながりといった、より人間の心情にフォーカスした作りになってますね。レムはどちらも不満みたいだったけど、これはこれで小説とはまた別の一つの作品として面白く、十分ありだと思いました。というより、やはりレムの原作が、イマジネーションを刺激する奥深いテーマと豊富な内容を含んでいるから、様々な解釈や展開を可能にしてるんじゃないかな。
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