トーマス・ルフ展

2017/03/18 Sat 14:59

3/12に終了しましたが、金沢21世紀美術館でのトーマス・ルフ展を見に行ってきました。

トーマス・ルフは一応写真家というくくりの方ですが、今回の展覧会を見ると、もはや写真という枠を遥かに飛び越えていて、「写真表現をベースにした、コンセプチュアル・ビジュアル・アーティスト」とでも言えばいいのか?(テキトーですがw) とにかく多彩なアイディアと表現にあふれた刺激的な展覧会でした。

展覧会は、過去から現在に至るまでルフさんが取り組んできた18のシリーズで構成されています。中には、予備知識なしだとルフさんがこの作品群で一体何をしようとしているのか、写真を見ただけではなかなか理解するのが難しいシリーズもあります。私は普段は展覧会へ行っても説明文をそれほど読まない方なんですが、今回は各シリーズごとの説明パネルがかなり役に立ちました。(笑) 1枚の写真またはその集合、その背景にこれほどの深い思考や洞察が存在しているのか、という事実にまずは心を動かされます。

Thomas Ruff
友人たちを撮った巨大な「ポートレイト」シリーズ
これだけ巨大に引き伸ばされると、もはやポートレイトではない別のものになってる感じ。

Thomas Ruff_lmvdr_other portraits
こちらは「アザー・ポートレイト」から。
犯罪捜査のためにかつて警察で使われていたモンタージュ写真合成機を使って制作された、この世には存在しない人のポートレイト。骨格と目鼻の位置に違和感がある人もいたりしてて、何だか幽霊のように儚げに見えてくる。

Thomas Ruff_lmvdr_nights
湾岸戦争のときの暗視カメラによるミサイル攻撃の映像に触発されたという「夜」シリーズから。緑色の画像は美しいけど、穴から異界をのぞいているようでちょっと怖い、怖いけどどこか詩情のある不思議な感覚。


シリーズの中でビジュアル的に最も惹かれたのが、「l.m.v.d.r.」と「ヌード」でした。
「l.m.v.d.r.」はミース・ファン・デル・ローエの建築を撮ったシリーズですが、デジタル加工された画像が非常にスタイリッシュに感じられ、鮮烈な印象を受けました。ミースは近代建築の先駆者なので、その建築を今現在の目から見ると逆に普通というか至って当たり前の建築に見えるんですが、ルフさんの画像で見ると新たな命を与えられて現代に蘇ったよう。

Thomas Ruff
Thomas Ruff
Thomas Ruff
「l.m.v.d.r.」シリーズ

Thomas Ruff_nudes
こちらは「ヌード」シリーズより。この作品集をお持ちのKさんの話によると、あまり過激なのは今回来てなかったみたいです。(笑)

Thomas Ruff
「jpeg」シリーズ。これが一番わかりやすいといえばわかりやすいか?


もう一つ印象的だったのは、「Press++」と「ニュースペーパーフォト」
この2つのシリーズは制作年代は全く違ってますが、2つで対になっているように感じられました。どちらも報道写真を題材にしてそれぞれ全く逆のアプローチで作品化したもので、「Press++」は写真にその当時のメモ書きなどの文字情報を合成した作品、「ニュースペーパーフォト」は逆にキャプションを取り除いて画像のみを提示したもの。これら2つの作品群が円形の同じ部屋に展示されていて、これらを眺めている自分は1枚1枚の画像から一体何の情報や意味を受け取っているんだろう?..と考えてしまいました。画像が元々持っていた意味や情報、それをどう伝達して人がどう受け取るのか、どう変質していくのか、という根本的な部分を問われているんでしょうか?どうもうまく言葉にできませんが、眺めているうちに何だか頭が混乱してきて面白かったです。(笑)

Thomas Ruff
「Press++」シリーズ

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