うーん、これは評判通りの、本当にいい映画でした。

リアルで淡々とした描写、ユーモアを交えて基調は明るいトーンで描かれていながらも、誰もが奥底に大きな喪失と悲しみを抱えつつ、必死に日々を生き続けていかねばならないことの切なさ、それゆえに他者にかけるさりげない愛情や思いやり..。そんな空気が物語全編にあふれていて、特に泣かせるような場面でもない何気ない会話の場面やなんかで、何だか急にこみ上げてきて途中何度も目が潤んでしまいました。まさにタイトル通り、この世界の片隅で自分を見つけてもらい、居場所を見つけ、普通に、当たり前に生きていくことのかけがえのなさ、愛おしさが胸に迫ってくる映画です。

おっとりした主人公のすずさんの苦悩や葛藤を吐き出す心の声...「…何が良かったんだろう..?」「そうです、そうです..違います」..には非常に共感したし、すずさんと水原君とのやり取り、機銃掃射の真っ最中の夫との口論、原爆投下の日の朝の、口うるさかった小姑の優しい言葉…などなど、じわじわくる印象的な場面が多数。

アニメーションの絵も柔らかく優しいタッチで、1場面1場面に気を遣って非常に丁寧に作られてますね。例えば彩度を落として描かれた戦時中の街の風景の描写など、とても美しいです。

あと、すずさんの声を演じたのん(能年玲奈)さんの吹替えは、ちょっと不器用で微妙にずれた感じのタイム感が絶妙。コミックを先に読んだ人にとっては賛否両論あるのかもしれませんが、私としてはもう「すずさん=のんさん」でドンピシャOK、という感じでした。その原作のコミックも、今度是非読んでみたいです。

オープニングに流れたコトリンゴさん「悲しくてやりきれない」のカバーも秀逸。



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