昨年末まで新聞で連載されていた金原ひとみさんの小説「クラウドガール」
今どきの若い女の子の2人姉妹が主人公の小説ということで、最初はちょっと馴染めなかったけど、途中から結構引き込まれて読んでました。

最後はちょっと無理やりまとめすぎな印象でしたが、その少し前の段の姉のモノローグが、最近自分が回りの世界の捉え方や受け取り方、人との関わり方のことやなんかで薄ぼんやりと考えていたことを、まるでそのままズバリと書いてあって、個人的にちょっと驚き。

その部分を引用すると、
「…そもそも情報を取捨選択するということは、誤解や偏見込みでものを認識するということに他ならないのだから、そんな選択基準の差異に突っかかって何故あなたはそういう人間なのかと議論することには意味がない。私たちは膨大なデータベースと共に生きていて、もはやそこから決定的な嘘も、決定的な真実も捉えることはできない。(途中略)私たちにできるのは、どの情報を採用するかという選択だけだ。...」

..といったようなことで、小説では、母の衝撃的な死の現場に2人一緒に立ち会いながらも、何年か後にはその場面の2人の記憶が有り得ないほど全く違っていた…というエピソードが描かれています。自分では現実の認識や記憶が他人と有り得ないほど違っていた、という経験はそれほどないけど、何もそこまで極端じゃなくても、人間は限られた分別とか計らいの中で、真実かどうかはともかく自分が捉えたいようにしか世界を捉えられない生き物なんだな、と思うことが近年多くて、何だか最終回のこの姉の言葉が妙に胸に刺さってきました。そんなこと今更気づいたんかい、って言う人もいるかもしれないですが。w

まあそれは置いといて、小説では理知的で冷静で常識的な姉 vs. 奔放で直情的で非常識な妹、という設定なんで一見姉がまともに見えるんですが、読んでいくと実は姉の方がひどい妄想の世界に生きているようにも描かれていて、その辺もまた一筋縄ではいかない感じがして面白かったです。

それにしても最終回が掲載されたのが12月30日なのに、1月6日にもう単行本が出てるんだね。

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