金沢21世紀美術館で9月1日まで開催されていた「内蔵感覚〜遠クテ近イ生ノ声」
もうとっくに終わってしまったんで今更書くのもなんですが、一応感想をメモしとこうかと。

いろんなタイプの作品が並んでいましたが、タイトル通り確かに「内蔵」に来るこの感じ、体の内側からサワサワと落ち着かなくなるような、心臓の産毛がそそり立つような感覚にしばしば襲われる刺激的な展覧会でした。
あくまで私個人の意見、というか嗜好のようなものですが、結局自分がモダンアートに求めていること、惹かれる理由の一つはこういう感覚なんじゃないか?と..。
言葉ではなかなか表現できませんが、これまで感じたことのない新しい感覚の体験や、新しい物事の見方や捉え方、あるいは長い間忘れていたけど子供の頃は確かに身体で感じていたことetc.を、ダイレクトに呼びさましてくれるようなもの、ということになるのかな。


一番印象的だったのは志賀理江子さんの写真か。
2007年制作の「CANARY」という写真集ですが、ある光景の中に潜む不気味さというか、何とも意味不明で形容し難い、まるで日常の風景の中に異界への入口がぽっかり開いた瞬間を撮ったような、不穏な悪夢の一場面のような、強烈なイメージが並んでいます。
光と闇を巧みに配置して、かなり作り込んだ写真も多いようですが、この作者のイメージの構成力や写真から溢れ出すパワーは半端じゃないですね。衝撃でした。この人の言葉にも興味あるんで、近作の「螺旋海岸ノート」という本を今度読んでみようと思います。

次に、六本木ヒルズにもあるでかい蜘蛛の彫刻で有名なルイーズ・ブルジョワさん。
彫刻も数点ありましたが、「家族」という12枚連作の水彩画、コレが非常にじわじわ来てすっかりヤラれました。あっという間に描けてしまいそうな赤一色のガッシュの水彩画なんですが、展覧会タイトルの「内蔵感覚」に最も相応しい作品かと。
男女の性交と胎児を描いているようですが、赤の絵の具を滲ませた表現が血と血が混ざりあうような危うさで、何だか身体の芯が熱くなって溶けていくような気分になります。
この作品は2008年制作ということなので、当時ブルジョワさんは97歳。
100歳近くにして、幼児が描いたような、それでいてこの鮮烈かつ繊細な表現、スゴイです。

あとは以前大阪の美術館で初めて見たときに、やけに気に入ってしまった加藤泉さんの絵。
買ってきたポストカードを仕事場の壁に飾っていつも眺めています。
初めてこの人の作品を見たとき何となく若い女性作家だろうな〜、と勝手に思いこんだのですが、後で調べたら実は'69年生まれの男性作家でした。
一目でこの人の絵と分かる独特な人物?像と、今回は立体作品も初めて見ることができました。絵も非常に強烈ですが、立体になると更に存在感を増してくるこの異形の人たち、一体何を訴えているのか?
「不気味カワイイ」とでも言いたくなる姿ながらオーガニックな雰囲気も漂わせていて、じっくり語り合いたくなるような不思議な魅力があります。そういえばこの人たち一度夢にも出てきたな..。

最後に以前も書いたことがあるピピロッティ・リストさん、今回は円形の展示室の壁360°全部を使った映像作品。入口で靴を脱いで寝転がりながら鑑賞できるようになっていて、今回の「肺葉(金沢のまわりを飛び交って)」も、女性が花畑の中を這い回って花を食い散らかしたりとやりたい放題です。
ビビッドな色彩に溢れる360°のめくるめくパノラマを眺めながら寝転がっていたら、「閉館時間です」と言われて追い出されました..。

※ブルジョワさん、加藤さん、ピピロッティさんの作品写真が→ここのレビューに出てます。

スポンサーサイト
工芸・アート・デザイン | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント

管理者のみに表示