先週、東京国立近代美術館のジャクソン・ポロック展、見てきました。
ポロックをこれだけまとめて見たのはもちろん初めて、で、おそらくこれで最後?
初期から晩年までの歩みをバランス良くたどることができて、概ね満足です。
平日だったので観客もそれほど多くなく、ゆったり見ることができて
東京まで出掛けた甲斐がありました。

画集ではわからない絵の具のリアルな盛り上がりやにじみ、
ひび割れ、切り貼りしたキャンバスの質感など、
ポロックの生々しい制作の跡がビビッドに伝わってきました。
ポロックの絵はよくフリージャズに例えられますが、
実物を間近に見て確かにこれは音楽だなあ、と。
例えば、横長の「ナンバー7、1950」の、リズムに乗る心地よさ。
それから今展の目玉、「評価額200億円!!」の「インディアンレッドの地の壁画」は、
確かにまぎれもない傑作ですね。オーラが出まくってます。
近づいて見たり離れて見たり、なかなか絵の前から立ち去ることができません。
あとは、後期の黒一色で描かれた作品群も、こうして実物を見てみると
書のような線の動きの力をより感じられて、なかなかに魅力的でした。
欲をいえば、絶頂期のポーリングの作品で大画面のものを
もっとたくさん観たかったと思いますが、まあ贅沢は言えません。

晩年、思うように制作できなくなったポロックは、
自分の絵を見て「これは絵なのか?」と尋ねたそうです。
...「絵」って結局何なんだろう?
ポロック展を見終わった帰り道、
そんなことも考えながら地下鉄に乗っていました。

jackson pollock
会場出口にポロックのアトリエが再現されています。
中を歩き回ったり佇んでみたりして雰囲気を感じてみたかったけど、
写真を撮る人が多くて断念。まあ自分もその一人ですけどね。

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桜の森の満開の下

2012/04/18 Wed 00:00

ここ奥能登輪島でも待ちかねたように桜が一気に咲き始めました。
やっぱいいですね桜は..。
この季節になると否応なく思い出してしまうのが、
ちょっとベタですが坂口安吾の「桜の森の満開の下」
昔、元上司で文学部出身のY部長に
「お前の好きそうな話だから読んでみろ」と言われ
早速読んでみたところ、はい、おっしゃる通り、
とても気に入ってしまいました。

桜

映画や漫画にもなるくらい有名な小説なので
読まれた方も多いと思いますが、何なんでしょうね、この話は。
読書感想文は昔からあまり得意ではないのでうまく書けませんが、
狂気、残酷、無慈悲、グロテスク、猟奇性..
それらすべてを飲み込んだ、ぞっとするような、冷たい、究極の美しさ?
とでも言うんでしょうか? あとには虚空だけしか残らないような。
何度読み返しても足下からぞわわと寒気がして鳥肌が立つような気分になります。

桜

桜

いつの頃からか私も人並みかそれ以上に桜が好きになり、
毎年花が咲くとついふらふらと眺めに行ってしまうのですが、
桜を見るのに一番好きなシチュエーションは、
少し花冷えの薄曇り、薄暗くなりかけた夕暮れどきあたり。
あまり人もいない静けさの中、甘い香りに鼻孔をくすぐられつつ
満開の桜の木の下を歩いていると、
あの主人公のように恐怖まで感じることは別にないですが、
やっぱり何だかこの花は現世のものではないような、あるいは
異界に迷い込んだような、妙に心がざわつく不思議な気分になってきます。
梶井基次郎も「桜の樹の下には屍体が埋まっている」とか書いてたし。

桜

山桜にはまだ日本的な花鳥風月の風情をより感じますが、
ソメイヨシノが葉をつけずに花だけを満開に咲かせる様は、
確かに狂気みたいなものを宿しているようにも見えますね。
まあ小説の方は山桜なんでしょうけど。

桜

桜

余談ですが安吾の他の作品では、詳しい人なら大方想像がつくと思いますが、
「夜長姫と耳男」も相当気に入っております..。


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なるほど、確かにこうすれば放射能汚染なんて
大したことないじゃん、ということになるわけか。
こういうことを意図して指示を出している人がいる、ということですね。
戦時中の大本営発表みたいなもんか。
それにしても、セコい..。

東京新聞・中日新聞 4月10日「紙つぶて」より引用

不可解な「除染」

 新聞などで発表される福島県飯舘村の空間線量率の値が、年明けから急低下した。今年は積雪が多かったので、その影響だろうかと考えていた。
だが、3月末に事故後1年目の調査で村に入り、モニタリングポストを確認して驚いた。線量測定器の置かれている場所の周りは徹底的に除染され、表土も入れ替えられていた。持参した測定器で地上1メートルの線量率を測ってみると毎時1.2マイクロシーベルト(単位は以下同)だったが、5メートル離れた場所では2.4あった。しかも測定器の下には分厚い鉄板。これでは直下からのガンマ線はかなり遮られる。実際に、文部科学省の公表値は1を下回っている。
 飯舘村は原発事故で全域が高濃度に汚染されたが、村内でも汚染度に濃淡がある。南部の長泥地区では、いまだに10を超える値が計測されるところがある。なのに発表される飯舘村の値は比較的低い地区の、しかも除染された場所に置かれた測定器の値なのだ。村の現況を代表しているとは到底言えまい。同行した京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「モニタリングポストの用をなさない」とあきれた。
 文科省に問い合わせると、除染は内閣府が実施したため関与していないという。内閣府は「モニタリングポストが置かれていたことを認識していなかった」と答えた。事前に調整しなかったというのだ。だが、ポストの周りを念入りに除染した(ように見える)のはなぜか、答えはなかった。
(小沢祥司=環境ジャーナリスト)



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"Wrecking Ball" Bruce Springsteen

2012/04/09 Mon 23:23

wrecking_ball.jpg

スプリングスティーンのニューアルバムは
自ら「これまでで最も怒りに満ちたアルバム」と語っている通り、
リーマンショック以降の更なる労働者階級の苦難や町の衰退、
支配層の不正や欺瞞に対する激しい怒りの歌が並んでいます。
もちろんこのあたりは昔からブルースの一貫したテーマではあるのですが、
歌詞はこれまで以上に辛辣でストレートな表現が多いですね。
昨年来のオキュパイ運動にも呼応したメッセージのようです。
もちろんブルースはアメリカのことを歌っているのですが、
日本でも原子力ムラとか、消えた年金問題のことなんかを思い出すと、
そのままそっくりこの国にもあてはまりそうな話ではありますね..。

音的には前2作は割とソリッドかつポップなロックアルバムでしたが、
今作はアメリカのフォークソングを大編成のバンドで豪快にカバーした
2006年の”The Seeger Sessions”に若干近い感触です。
あのアルバムで得た音楽的な成果が、いわゆる”スプリングスティーン的ロック”と
いい具合にミックスされて、見事に結実したような仕上がり。
激しい怒りや深い悲嘆に満ちたシリアスな歌詞とは裏腹に、
手拍子や足拍子と共にみんなで声を合わせて歌いたくなるような、
いわゆる"シングアウト系"というんでしょうか、荒々しく勢いのある曲が印象的です。
全編を通して聴いているといろんな音が聞こえてきて、
まるでR&B、フォーク、カントリー、ゴスペル、アイリッシュ..etc.といった
支流を全部飲み込んで、激しい濁流となって流れる大河のよう。

今ブルースは全米ツアー中で、YouTubeでライブの様子も一部UPされてますが、
見てるとやっぱり猛烈に自分もこの場に居たくなりますね。
還暦過ぎても相変わらずこんなライブを毎夜展開してるのはほんとスゴいです。
"Tenth Avenue Freeze-Out"では、昨年亡くなったBig Manクラレンスの不在を
強く感じさせる演出もあったりして、何だかしんみりしてしまうシーンも。
いい加減日本でもライブをやってほしいけど、今回もスルーなのかなあ。

日本盤は日本のスプリングスティーン解説といえばこの人、
五十嵐正さんの充実した解説がいつもながらほんとに読ませるし、
長年歌詞の対訳をされてきた三浦久さんの解説もついているので、
英語力に自信のない私にはなかなかありがたいです。
レコード会社のスタッフ、HIGH-HOPES管理人さんのブログも、
毎回内容が充実しすぎて読み切れないくらい。
というわけで日本側のスタッフも皆さんいい仕事してくれてることだし、
くどいようだけど来日公演やってくれないもんですかね..。

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暴風お見舞い

2012/04/04 Wed 23:59

wind.jpg

それにしてもひどい風でした。
今日は東北・北海道でも被害が出てます。
皆さんのところは大丈夫でしたでしょうか?
今年の春はこの後もしばらくこんな天気になりやすいとのこと、十分ご注意ください。
早く暖かい春になるといいですね。

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