運慶展を見に行く

2017/11/18 Sat 20:21

東京出張の空き時間に、上野の東京国立博物館へ特別展「運慶」を見に行く。

東京国立博物館
東博はいつ来てもキレイです。
運慶展はこの本館ではなく、左奥の平成館で11月26日まで。


さすが人気の展覧会だけあって、平日なのに入場は40分待ち。そういえば去年の若冲展は4時間待ちとか聞いたけど、ほんとに皆さんそんなに並んでまで見に行ってたんでしょうか?

というわけで、展覧会の方は運慶について最近軽く予習済みだったんでw、混雑はしてたけど非常に楽しめました。でもこれだけ人が多いと、じわじわ近くに寄って見ることはできても、ちょっと離れて像全体を眺めるというのがなかなか難しくて残念。

内容の方は、静かな如来像もいいけど、彫刻として眺めるにはやっぱり力感にあふれて気迫に満ちた四天王像が強烈で素晴らしい。

他にも八大童子像(の6体)の各々の個性的な表情と表現はいくら眺めていても飽きないし、最高傑作といわれている無著・世親の両菩薩像は、仏像というよりほとんどリアルな人物像でありながら、「智慧」と「慈悲」という仏教の教えがそのまま人の姿になったようで、思わず手を合わせて拝みたくなるような神々しさ(仏ですがw)でした。

父親である康慶の四天王像も良かったし、生々しくて妙に人間臭い「法相六祖坐像」も運慶作同様に素晴らしかったです。余談ですが、その「法相六祖坐像」の6人のお坊さんたちの顔をじっと眺めていたら、何となく山田芳裕さんの漫画「へうげもの」を思い出しました。もしかして山田さんは、キャラ作りや表情の描き方にこの像を参考にしたんじゃないだろうか?と..。いや、何となく似てるな~と思ってww

ところで今回の展覧会の図録、写真が非常に美しくてクローズアップも多数、帰ってからずっと眺めてます。これは永久保存版だな。

運慶展図録
運慶展図録


以下おまけ。

富士山
帰りは久々に東名経由、富士山がきれいに見えた〜

駿河湾沼津SA
駿河湾沼津SAで休憩。お茶畑に沼津市街、その向こうに海が見えて、眺めが良くて気持ちいいSAです。太平洋側の冬は晴れが多いし、この辺りは暖かくていいですね。

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奥能登国際芸術祭のつづきです。

中将湯温泉
すばらしく昭和なw、味のある玄関
この古い銭湯、恵比寿湯の女湯と男湯に分かれて二人の作家が競作してます。

中将湯温泉
天井扇が茄子

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まずは男湯の方、麻生祥子さん「信心のかたち」
泡が断続的に上方から流れてきて、足元に迫ってきます。
刻々と形の変わる泡の彫刻。きっとその日の気温や湿度によっても形が変わるんでしょうね。

麻生祥子「信心のかたち」

麻生祥子「信心のかたち」

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続いて女湯、井上唯さん「into the rain」
カラフルでポップ、こちらも女性らしい柔らかな優しい布の彫刻が揺れる。
大喜びではしゃぐ子供たちに混じって中に入ってみました。

井上唯「into the rain」

井上唯「into the rain」

井上唯「into the rain」

井上唯「into the rain」

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続いて南条嘉毅さん「シアターシュメール」
飯田地区に残る古い木造の映画館(こんな建物が今も残っていることにまずは驚き。2階には大きな古い映写機が転がり、左右に桟敷席もあったりして、この建物内部も一見の価値ありです)を舞台に、ノスタルジックな短編映画のような8分間の体験型インスタレーション。シンプルな演出ながら非常に想像力を刺激され、静かに感情を揺さぶられる作品でした。作者の南条さんは「土」にこだわる作家さんのようで、この作品では天井から能登の珪藻土が時折さらさらと落ちてきます。ここは撮影禁止なので写真はなし。

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鵜飼地区に移動して、石川直樹さん「混浴宇宙宝湯」へ。

石川直樹「混浴宇宙宝湯」

ここも非常に面白かったです。木造3階建の「宝湯」(1階でお風呂は今も営業中!!)の複雑な造りの建物全体を使って、石川さんのカラー写真とこの家の歴史を語るモノクロ写真が随所に配され、銭湯、宴会場、旅館、遊郭…と様々な顔を持つこの建物の舞台装置が、あちこちの部屋や廊下にさりげなく再現されています。

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
2階の大宴会場

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
大浴場の他に個室風呂もあります。なぜか熊の置物が。
まあとにかく、おそらくここでキレイになった後、

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
こういう素敵な部屋でw
石川直樹「混浴宇宙宝湯」

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
こういうことにwww

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
結界?

石川直樹「混浴宇宙宝湯」

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
建物内部はそこかしこ凝った作りになってます

石川直樹「混浴宇宙宝湯」
いい染付の器がたくさんある食器部屋

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最後はまた外浦に戻って、さわひらきさん「魚話」
暗闇の中のインスタレーションがいくつかと、心象風景を投影したような、シュールな夢の記憶のような、硬質の映像作品。この日の最後を飾るにふさわしい素晴らしい作品でした。

さわひらき「魚話」
くるくる回ってツバメが羽ばたく

さわひらき「魚話」

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後半見てまわった作品の舞台は、何だかどこも昭和のノスタルジーを強力に感じる場所が多かったですね。そのせいもあるのか、今更ながら珠洲は輪島とはだいぶ町の持っている雰囲気が違うというか、同じ奥能登でも流れている時間がちょっと違うような感覚を覚えました。

というわけで、Kさんご夫妻にはいろいろとお世話になり、おかげさまで楽しい1日を過ごすことができました。どうもありがとうございました。
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いつもお世話になっているKさん夫妻とご一緒させてもらって、珠洲市で10/22日まで開催の奥能登国際芸術祭2017を見に行ってきました。こんなアートイベントがこんな近くで開催されるというのは、またとない貴重な機会。トリエンナーレとなってるんで3年後も開催する計画だと思うんですが、期待以上に面白かったんで奥能登の文化イベントとしてぜひ定着してほしいですね。
珠洲市は結構広くて1日ですべて見て回るのはちょっと無理なので、アートに詳しいKさん夫妻のピックアップした作品を中心に、冬の近さを感じる肌寒い曇天の一日でしたが、おかげさまで楽しく回ってきました。


最初に行ったのは、今回一番見たかった塩田千春さん「時を運ぶ船」
塩田さんの作品を初めて見たのは2011年の21美、「不在との対話」というインスタレーション。その印象が強烈で、以来ずっと気になってチェックしている方です。
今回の作品は、空間に糸を張り巡らすという塩田さんの典型的な手法の一つですが、赤い糸の迷宮が生み出す劇的な奥行きと、アーチと曲面の構造的な力感に圧倒されます。

塩田千春「時を運ぶ船」

塩田千春「時を運ぶ船」

塩田千春「時を運ぶ船」

実際にこの赤い光の中に立っていると、柔らかな固まり感?のようなものに包まれる感覚が非常に心地良かったです。砂を積んだ古い木造船は、遥か昔から時間を飛び越え、必然的に今ここに現れたような存在感。期待通りのすばらしい作品でした。

塩田千春「時を運ぶ船」

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三崎地区の海岸に移動して、こちらは小山真徳さん「最涯の漂着神」
難破船と、木で作られた鯨の骨格。曇天の下、土着の海洋民族のモニュメントのよう。

小山真徳「最涯の漂着神」

小山真徳「最涯の漂着神」

小山真徳「最涯の漂着神」

小山真徳「最涯の漂着神」

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次にこちらもスケールが大きく素晴らしかった岩崎貴宏さん「小海の半島の旧家の大海」
旧家の立派な座敷の中が大量の塩に埋もれ、船が浮かぶ日本海の風景に見立てられています。

岩崎貴宏「小海の半島の旧家の大海」

岩崎貴宏「小海の半島の旧家の大海」

岩崎貴宏「小海の半島の旧家の大海」

この作品を眺めていてちょっと連想したのが、西アフリカでサハラ砂漠周辺の村々が砂に飲み込まれていっているという話。この家も以前から空家だったそうで、座敷の中に塩の海があって懐かしい置物などが漂流している...というある意味異様な光景には、往時に繁栄を誇った立派な旧家が、人間の営みもろとも塩=海に飲み込まれつつあるような怖さもちょっと感じました。作者にそのような意図があったのかどうかはわかりませんが。

岩崎貴宏「小海の半島の旧家の大海」

岩崎貴宏「小海の半島の旧家の大海」


岩崎さんの作品の舞台となっているこの古い家の裏に回ってみました。
土蔵の朽ちた板壁が美しく、柿の実がなる一角に妙に郷愁を感じます。

奥能登芸術祭

IMG_2666.jpg

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次のこれは角文平さん「Silhouett Factory」
軽やかに風に吹かれる奥能登の風物誌。

角文平「Silhouett Factory」

角文平「Silhouett Factory」

角文平「Silhouett Factory」

角文平「Silhouett Factory」

(その2へつづく)
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富山県美術館へ行く

2017/09/20 Wed 23:24

8月末に新築オープンした、富山県美術館へ行ってきました。
前身の富山県立近代美術館の頃も何度か行ってますが、20世紀美術とデザイン中心のコレクションが結構好きでした。

富山県美術館
建築設計は内藤廣さん

富山県美術館
2Fと3F、全面ガラスの明るいホワイエから環水公園が見渡せます。
広々として気持ちいい空間。これで立山が見えれば文句なしだったんだけど、残念ながらこの日は雲に隠れてる。

富山県美術館
2Fの屋外広場にシロクマのオブジェが

富山県美術館
富山県美術館
佐藤卓さんプロデュースのオノマトペの屋上
子供達が大喜びで遊んでました。

富山県美術館
でかいタッチパネル式のディスプレイで、名作ポスターを鑑賞できます。

富山県美術館
ホールではこの館自慢の名作椅子&名作ポスター展。椅子の一部には実際に座れます。
ポスター展のこの2枚、カッコいい〜。奥はル・コルビュジェ、手前はキース・ゴダード。

企画展の「生命と美の物語 LIFE - 楽園をもとめて」も見てきましたが、昔から非常に好きなマーク・ロスコの絵を見られたのが良かったかな。ロスコの絵にしては小さめでしたが。

それにしてもロスコの絵、実物をそんなに何度も見たことがあるわけじゃないけど、こんなにシンプルな絵なのに何でこれ程の深さ、とてつもない奥行きを感じるんだろう?といつも考えてしまいます。抽象表現主義の絵画ではあるけれど、絵を見つめていると確かな風景が見えてくるし、そのうちに意識のベクトルが変わって、だんだん自分自身の内面にじっと向き合っているような感覚に襲われる。

富山県美術館 たいめい軒
というわけで昼飯は館内3F、やたら色黒なシェフwで有名な日本橋たいめいけんのオムライス。お昼どきは行列でしたが、確かに美味かったです。
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先週は東京に出張。空き時間に駆け足で日本橋高島屋の藤原新也「沖ノ島展」と、国立新美術館の「ジャコメッティ展」を見に行く。

藤原さんのは2013年の写真集「神の島 沖ノ島」掲載の写真が中心だったけど、大判で見ると沖ノ島の静かな空気感がよりリアルに伝わってきますね。記録することを意識して撮ったとのことですが、どの写真を見てもやっぱり藤原さんの写真の匂いが濃厚に漂ってます。
世界遺産で話題になってるせいか、平日にもかかわらず特にご年配の方でかなり混雑。みんな世界遺産好きなんだな〜。

沖ノ島

沖ノ島



ジャコメッティは実物をこれだけまとめて見たのは初めて。ジャコメッティの彫刻はあまりにも有名なので、大体みんなイメージが意識にすっかり定着しているだろうけど、改めてまっさらな目で眺めてみるとほんとに不思議な姿をしている。w

解説を読むと本人は非常に切実な思いで制作にあたっていたようで、それを踏まえてこの異形の作品群にじっと向き合ってみると、何だか芸術家の計り知れない精神の深淵を垣間見たような気分にさえなってきます。ジャコメッティに詳しいわけじゃないんで実際のところはわかりませんが、宗教性のようなものを強く感じるというか..。

ジャコメッティ

会場に小さな女の子を連れた若いお母さんがいて、その女の子が作品の幾つかに妙に反応してはしゃいだりしていて、一体この彫刻の何がこの子の心と反応してるんだろうな~、まあ他愛ないことなんだろうけど…とか思いながら微笑ましく見てたんですが、でもアートに限らず何かに感応する心というものを説明するのはほんと難しいですね。私もいくつかの作品には非常に惹かれたけど、何がどういいのかを言葉で伝えるのはほとんど不可能。私の言語能力が低いせいもありますが、無理やり言葉にしてみるとだんだん自分のことが胡散臭くなってくる..ww
それにしても、こんな小さな子にジャコメッティを見せようと思って連れて来るお母さんも素晴らしいですね。高い展示台に載ってる作品も、抱っこしてしっかり見せてたし。

ジャコメッティ

ところで展覧会なので陰影の強いスポットライトがあてられていましたが、この細かい粘土の塊の集積のような彫刻、作っている本人はどんな光の下で制作し、どんな光の下で見られることを想定していたんだろう?彫刻は置かれた場所の光によってだいぶ見え方が違ってきますよね。そこが面白いところでもあるんですが。

Ginza SIx
帰り道、ちらっと寄ってみたGINZA SIX。
吹き抜けに草間弥生さんのバルーンが。

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能面の面裏

2017/04/03 Mon 17:37

先日WEBで見かけた能面の面裏の写真、見た瞬間にドキッとして強烈な印象。
写真家の渡邉博史さんの能面を撮ったシリーズの一つです。

Hiroshi Watanabe Shunkan

能にも能面にも全く詳しくないけど、考えてみると能楽師の方が直接向き合っているのはこの面裏になるわけで、この裏面の造形にも機能的なこと以外に、演者の心に影響を与えるような深い意味が込められているんだろうなあ、と。

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